フローリングの剥離洗浄をするメリットは? 清掃手順や注意点、業者へ依頼する料金を解説

毎日の掃除では落とし切れない床の黒ずみやムラは、ワックスの劣化が原因かもしれません。フローリングの剥離洗浄により古いワックスを根本から除去し、新しいワックスを均一に塗布すると、美しさと耐久性を取り戻せます。
オフィスビルや商業施設では床の見た目が企業や施設の印象を大きく左右するため、定期的な剥離洗浄が不可欠です。しかし、作業には専門的な知識と技術が必要であり、適切な方法で行わなければ床材にダメージを与える可能性があります。
本記事では、フローリングの剥離洗浄のメリットや具体的な手順、注意点について詳しく解説します。フローリングの輝きを取り戻したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
- 目次 -
フローリングの美観を回復する剥離洗浄
フローリングの剥離洗浄とは、床面に蓄積した古いワックスを専用の剥離剤で完全に除去し、床材を素の状態に戻してから新しいワックスを塗り直す作業です。剥離洗浄を行うと、床面の美しさが回復し、ワックスの保護機能を復活させる効果が期待できます。
なお、一般的な床清掃では表面の汚れは落とせますが、ワックスに染み込んだ汚れや何層にも塗り重ねられたワックスの除去はできません。複数回重ねて塗られたワックス層は時間とともに変色し、本来の機能を失っていくため、定期的に剥離洗浄を行い、通常の清掃では落とし切れない汚れを取り除くことが重要です。
特にオフィスビルや商業施設では、床の見た目が企業や施設の印象を左右するため、適切な頻度で剥離洗浄を実施し、清潔感のある空間を保ちましょう。
フローリングを剥離洗浄するメリット
フローリングを剥離洗浄する主なメリットとして以下の点が挙げられます。
- 美しさを取り戻せる
- フローリングに汚れや傷が付きにくくなる
美しさを取り戻せる
剥離洗浄の大きなメリットは、経年劣化したフローリングの美しさを取り戻せることです。
一般的にフローリングにはワックスが重ね塗りされていますが、日々の歩行や摩擦、汚れの蓄積によって劣化すると、ワックスに黒ずみや色ムラが生じます。この状態を放置していると、床の光沢が失われるだけでなく、汚れが固着し通常の清掃では取れなくなるのです。
剥離洗浄では、このような古いワックス層を完全に除去し、新しいワックスを均一に塗り直します。床の表面が完全にリセットされることで見た目がよくなり、新品に近い美しさを取り戻すことが可能です。
フローリングに汚れや傷が付きにくくなる
フローリングの剥離洗浄を行い床の表面に新しいワックスを均一に塗布すると、床材に汚れや傷が付きにくくなります。ワックスがフローリングの保護膜となり、水分や摩耗、衝撃から床材を守るためです。
またワックスの剥離洗浄を行うと表面の滑らかさが増すため、汚れが付着しにくくなり、掃除の負担軽減も期待できます。
つまり、定期的なフローリングの剥離洗浄を実施することで、長期間にわたって美観と耐久性を維持できるだけでなく、清掃の手間が減り、結果としてメンテナンスコストの削減にもつながります。
フローリングを剥離洗浄するデメリット
フローリングを剥離洗浄する主なメリットとして以下の2つが挙げられます。
- 作業時間がかかる
- 自分で剥離洗浄を行うのは難しい
作業時間がかかる
フローリングの剥離洗浄は効果が高い反面、通常の清掃作業よりも時間がかかります。古いワックスを完全に除去した後に新しいワックスを塗布するため、単なる床洗浄よりも工程が多く、手間もかかるからです。さらに、ワックスを塗った後は完全に乾燥するまで待つ時間が必要です。
古いワックスが何層にも塗り重ねられている場合は、一度で剥離し切れずに追加作業が発生することもあります。
商業施設の場合、施設の利用を一時的に制限する必要が生じるケースもあるため、フローリングの剥離洗浄は計画的に実施しましょう。
自分で剥離洗浄を行うのは難しい
フローリングの剥離洗浄は専門的な技術や道具が必要な作業であり、素人が自分で行うのは困難です。万が一自分で行おうと思っても、適切な剥離剤を選定し、ワックスを均一に塗布し、適切な作業手順を守らなければ床材にダメージを与える可能性が高まります。
床材の保全と美観を維持するためには、プロの業者へ依頼するのがおすすめです。万が一剥離洗浄によりトラブルが生じても、専門業者ならアフターサービスを受けられることがあります。
剥離洗浄に向かない床材
床材の種類によっては、剥離洗浄を行うことに変色や劣化が発生するリスクを伴います。特に、以下の床材は水分や剥離剤の影響を受けやすいため注意が必要です。
- 無垢材
- リノリウム
例えば、無垢材のフローリングに対して水分の管理が不十分だった場合、作業後に床材が膨張し、一部が反り返ってしまうことがあります。剥離作業を行う前に床材の特性を把握し、適切な処置が重要です。
フローリング剥離洗浄の手順
フローリング剥離洗浄の一般的な手順は次の通りです。
- 手順1:事前準備
- 手順2:剥離
- 手順3:洗浄
- 手順4:仕上げ
適切な手順を踏んで剥離洗浄を行うことで、効率的に作業が進められるだけでなく、床材へのダメージも軽減できます。
手順1:事前準備
剥離洗浄を行う前に、作業エリアの安全性の確保が大切です。移動可能な家具や什器は作業エリア外へ移動し、移動できない什器は養生シートやマスキングテープで保護します。特に木製家具や金属部分は剥離剤による損傷リスクが高いため、完全に覆うように養生します。
剥離剤を使用すると床が滑りやすくなるため、作業エリアは立ち入り禁止にすることが重要です。カラーコーンや作業表示板、立入禁止ロープなどを用いて、関係者以外の立ち入りを防ぎましょう。
その後、掃除機やダストモップを使用して床面のごみやほこりを除去します。この工程を怠ると、後の剥離作業の効率が低下するため丁寧に行いましょう。
手順2:剥離
剥離剤を用いて古いワックスを剥離します。ワックスの層の厚さに応じて剥離剤の濃度を調整し、モップで床面全体に均一に塗布します。剥離剤の希釈倍率は5〜10倍が一般的です。濃度が高すぎると床材を傷め、低すぎると効果が不十分になるため、適切な濃度を判断することが重要です。
剥離剤を塗布した後、5〜10分ほど放置し、ワックスが十分に分解されるのを待ちます。
手順3:洗浄
ワックスが剥がれて浮いてきたら、ポリッシャーを使用して洗浄します。奥から出口に向かって後退しながらポリッシャーを操作し、ワックスを均一に除去しましょう。部屋の隅などのポリッシャーが届かない場所は、手作業でブラシやパッドを使用して丁寧に洗浄します。
ポリッシャーでワックスを除去した後は、汚水を迅速に回収します。汚水が長時間残ると、床材に浸透し、変色やダメージの原因となるため、可能な限り速やかに回収することが重要です。吸水バキュームやフロアスクイジーを使い、剥離剤やワックスの残骸を効率的に取り除きます。
汚水を回収した後でも、床面にはアルカリ性の剥離剤が残っています。残った剥離剤は放置すると床材が劣化する原因になるため、すすぎや洗浄を丁寧に行い、剥離剤を完全に除去することが大切です。すすぎが終わったらモップなどで表面に残った水分を取り、乾燥させましょう。
手順4:仕上げ
床が完全に乾燥したら、新しいワックスを塗布します。複数回、均一に塗り重ねることで、床の保護性能が向上し、光沢が長持ちするでしょう。
ワックスが完全に乾燥したら、元の位置に家具を戻し、作業エリア全体を確認します。ワックスのムラや塗り残しがないかをチェックし、必要に応じて補修を行います。ワックスが完全に乾燥するまで(通常30分~1時間)は、上に物を置かないよう注意しましょう。
フローリング剥離洗浄の注意点
フローリング剥離洗浄を実施する際は、以下の注意点を押さえておきましょう。
- 剥離剤は慎重な取り扱いが必要
- 汚水は排水溝に流せない
- 転倒に気をつける
剥離剤は慎重な取り扱いが必要
剥離剤は強アルカリ性の薬剤です。ワックスを溶解するほどの強い作用があるため、肌や粘膜に付着すると炎症やただれを引き起こす危険性があります。
剥離剤の影響を防ぐために、作業時は以下の防護具を着用しましょう。
- ゴム手袋
- ゴム長靴
- 保護ゴーグル
- 防護マスク
また剥離作業を行わない場所に剥離剤が付着すると、その部分だけワックスが剥がれて不均一な見た目になるため、慎重な取り扱いが必要です。
汚水は排水溝に流せない
剥離洗浄で発生する汚水は、そのまま排水口に流せません。剥離剤には強アルカリ性の成分が含まれており、環境汚染の原因となるためです。
汚水処理には、法律や地域の条例に従った適切な対応が必要です。剥離洗浄を実施する際は、環境に配慮した汚水処理ができる産業廃棄物処理業者に相談し、適切な方法で処理しましょう。
転倒に気をつける
フローリングの剥離洗浄直後は、剥離剤を塗布した後の床が滑りやすくなります。そのため、作業の際は作業者自身も転倒しないよう、注意深く歩く必要があります。作業者の安全対策を徹底し、事故のリスクを抑えましょう。
フローリングの剥離洗浄を業者へ依頼する際の料金相場
フローリング剥離洗浄の標準的な料金相場は以下の通りです。
- 1m²あたり:約400円~600円
- 基本料金:約25,000円~40,000円
ただし、床材の種類や汚れの状態、面積規模、作業の時間帯などによって大きく変動します。また別途剥離作業で発生する廃液の処理費用がかかるケースもあります。
フローリングの剥離洗浄を依頼する際は、複数の業者から見積もりを取り、比較することが重要です。
フローリング剥離洗浄を業者へ依頼するときのポイント
フローリングの剥離洗浄を業者へ依頼する際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 施工実績のある清掃業者を選ぶ
- トラブル時の補償の有無を確認する
施工実績のある清掃業者を選ぶ
フローリングの剥離洗浄を業者に依頼する際は、施工実績が豊富な清掃業者を選ぶことが重要です。経験豊富な業者に依頼すれば、さまざまな建物や床材に対応するノウハウを持つため、高品質な仕上がりが期待できるでしょう。
実績ある清掃業者を選定するための具体的なポイントは次の通りです。
- 業者のホームページやパンフレットで過去の施工事例をチェックする
- 過去に似たような施設で剥離洗浄を行った経験があるか尋ねる
- 現場調査の丁寧さをチェックする
フローリングの剥離洗浄を業者に依頼する際は、自社と同じ業態での施工実績があるかを確認することで、より満足度の高い仕上がりを期待できます。
トラブル時の補償の有無を確認する
フローリングの剥離洗浄は強力な薬剤と特殊な機材を使用する作業であり、プロの業者であっても予期せぬトラブルが発生する可能性があります。そのため、業者選定時には補償の体制を確認することも大切です。
損害保険に加入している業者を選ぶことで、作業中の事故や床材の破損などのリスクをカバーできるため、見積もりや契約前に補償の有無をチェックしましょう。
フローリングの剥離洗浄は信頼できる業者へ依頼しよう
フローリングの剥離洗浄は、長年蓄積したワックスや汚れを除去し、新たなワックスを塗布することで、美しさと耐久性を維持する作業です。適切な周期で実施することで、フローリングの寿命を延ばせるだけでなく、日常清掃の効率も向上するでしょう。
作業には専門的な技術や道具が必要なため、剥離洗浄を行いたい場合には信頼できる業者への依頼がおすすめです。
アーネストは1,000社以上の企業・施設での導入実績を持つ清掃会社です。フローリングの種類に応じた最適な剥離洗浄を実施することで、美しさと機能性を両立した仕上がりを実現しています。剥離清掃を依頼したい方は、ぜひ一度アーネストにご相談ください。