カーペット清掃のドライ方式とは? メリット・デメリットや手順、他の清掃方法を解説
マンションやオフィスビルのカーペットは汚れが付きやすく、目に見えない汚れも蓄積しているため、きれいに保つには業者による定期清掃が欠かせません。定期清掃でカーペットを清掃する方法の一つに「ドライ方式」があります。ドライ方式はどのような清掃方法で、他の清掃方法とどのような違いがあるのでしょうか。
本記事ではカーペットクリーニングのドライ方式の概要やメリット・デメリット、手順やドライ方式以外の清掃方法、適切な頻度について解説します。カーペットの清掃を業者に依頼したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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カーペットには定期的な清掃が必要
多くの人が行き交うマンションやオフィスビルのカーペットは、目には見えなくてもごみや汚れが蓄積しています。そのため、衛生環境を維持するには、カーペットの清掃が欠かせません。
カーペットの清掃には、ご自身で行う日常清掃に加え、業者に依頼する定期清掃があります。業者に依頼するカーペット清掃なら、普段掃除機や粘着クリーナーなどでは取れない染み込んだ汚れや、奥まで入り込んだごみやほこりなどの除去も可能です。
カーペット清掃のドライ方式とは?
業者にカーペット清掃を依頼する場合、清掃方式にいくつかの種類があります。そのうち、「ドライ方式」は、水を使用せず、石油系溶剤などの有機溶剤を使用して汚れを落とす方法です。ドライクリーニングとも呼ばれます。バキュームクリーナーなどでカーペットの奥に入り込んだごみを吸い取った後、専用の機材を使って汚れを吸着して、清潔な状態に仕上げます。
ドライ方式でカーペットを清掃するメリット
ドライ方式でマンションやオフィスのカーペットを洗浄するメリットは、水の使用が難しい空間のカーペットを清掃できることです。例えば精密機器がある空間の場合、清掃の際に水を使うことで機器の故障につながる恐れがあります。ドライ方式のカーペット清掃なら、水を使うことなくカーペットをきれいにできるため、清潔な状態を維持できるでしょう。
また、素材の種類を問わず、カーペット本来の風合いをキープしやすいこともドライ方式のメリットです。カーペットに使用される素材の中には、水に弱い性質を持つ素材もあります。水に弱い素材を水で洗浄すると劣化してしまう恐れがありますが、ドライ方式なら風合いを損ねずに汚れを落とすことが可能です。
加えて、有機溶剤を使用するドライ方式の清掃は、油性の汚れに強いというメリットもあります。油性インクや油性ペンキ、靴墨などの油性の汚れは、水洗いだけで落とすのが難しいですが、ドライ方式ならカーペットの汚れをしっかりと落とせるでしょう。
清掃後、カーペットが素早く乾くことも、ドライ方式のメリットです。水を使用する清掃方法の場合、カーペットが乾くまである程度の時間がかかります。例えば、夜間に作業した場合、翌日までに乾かないケースも多いです。しかし、ドライ方式なら乾燥までの時間がほとんどかからないため、マンション住民の生活の妨げになったり、翌日のオフィスでの業務に支障が出たりする心配がありません。
ドライ方式でカーペットを清掃するデメリット
ドライ方式でマンションやオフィスのカーペットを清掃するデメリットは、仕上がりが使用する有機溶剤に左右されることです。
水と違って、有機溶剤は排水として流すことができません。そのため、通常は適切な品質管理を行いながら、繰り返し使用します。
適切に管理が行われていれば、使用した有機溶剤を繰り返し清掃に使うことには問題ありません。しかし石油溶剤の管理に使用するフィルターは、交換に手間も費用もかかるため、適切な頻度で交換していない業者がいるのも事実です。管理が不十分な業者にドライ方式でのカーペット清掃を依頼してしまうと、清掃後に石油系特有の気になる臭いが残ってしまう恐れがあります。
依頼する際は、業者の実績や口コミをしっかりと確かめることが大切です。
ドライ方式のカーペット清掃の手順
ドライ方式でカーペット清掃する際の一般的な手順を紹介します。
1. バキュームクリーナーを使う
まず強力なバキュームクリーナーなどを使用し、カーペットの汚れを吸い取ります。
カーペットの汚れの大半は、バキュームクリーナーで取り除くことが可能な汚れといわれています。有機溶剤で清掃する前に汚れを吸い取ることで、よりきれいな仕上がりを目指すことが可能です。
2. 染みやこびり付いた汚れを落とす
次に目立つ染みやこびり付いた汚れを落とします。
染みやこびり付いた汚れは、大きく分けて水溶性と油溶性の2種類です。汚れの種類をしっかり見分け、必要に応じた洗剤などを使用し、一つずつ丁寧に落としていきます。
3. 有機溶剤の散布
染みやこびり付いた汚れを落としたら、ドライ方式専用の有機溶剤をカーペット全体に散布します。
4. ブラッシング
有機溶剤を散布したら、専用の機材を使用し、カーペット全体をブラッシングしていきます。ブラッシングの際は、マイクロファイバー製などのパッドを機材に取り付け、汚れをパッドに吸着させます。
5. 再度バキュームクリーナーを使用する
ブラッシングが終わったら、再度バキュームクリーナーを使用し、カーペットに残った汚れをしっかりと吸い取ります。
6. 整毛
カーペットの毛足の長さなどに応じて整毛を行い、きれいに仕上げます。
7. 保護剤の散布
業者によっては、カーペットの汚れを防ぐ目的で、整毛後に保護剤を散布します。
保護剤を吹き付けることで汚れを防ぐことに加え、万が一汚れが付着した際に除去しやすくなります。帯電防止成分が配合されている保護剤を使用すると、精密機器を設置しているオフィスのカーペットの保護も可能です。
なお、保護剤の散布はオプションになるケースが多いようです。
ドライ方式以外でカーペットを清掃する方法
カーペットの清掃方法には、ドライ方式以外にもセミドライ方式とウェット方式があります。ここからは、セミドライ方式とウェット方式の概要やメリット・デメリット、手順についても把握しておきましょう。
セミドライ方式
セミドライ方式とは、少量の洗剤で洗浄が可能なバルチャーやポリシャーなどの機材を使用し、微量の洗剤を使って清掃する方法です。セミドライクリーニングとも呼ばれます。一般的に業者が行うドライ方式のクリーニングには、セミドライ方式のクリーニングが含まれるケースが多いです。
後述するウェット方式と比べると使用する水の量を抑えることができるため、ドライクリーニング同様、水に弱い精密機器などを設置している空間のカーペット清掃に適しています。ドライ方式とセミドライ方式のどちらが適しているかは、業者にご相談ください。
セミドライ方式のメリット・デメリット
セミドライ方式のメリットは、比較的乾燥が早いことです。ドライ方式よりは時間がかかる傾向にありますが、マンションやオフィスはもちろん、クリニックや店舗など、早く乾くのが望ましい場所のカーペット清掃に適しています。
セミドライ方式のデメリットは、仕上がりが普段の清掃状態に左右されやすいことです。定期的に清掃を行い、汚れが蓄積していなければきれいに仕上がりますが、汚れがひどい場合は、思ったよりきれいに仕上がらない可能性もあります。
手順
セミドライ方式の一般的な清掃手順は、以下の通りです。
- バキュームクリーナーでカーペットに入り込んだごみやほこりを吸い取る
- 染みやこびり付いた汚れを取り除く
- バルチャーやポリシャーなどの機器を使用し、セミドライ方式専用の洗剤でカーペットをブラッシング洗浄する
- 四隅や巾木に沿った箇所は、手作業でブラシをかけて汚れを落とす
- 再度バキュームクリーナーで汚れを取り除く
- 送風機を使ってカーペットを乾燥させる
- カーペットの毛足が長い場合は、整毛して仕上げる
- 必要に応じて保護剤を散布する
ウェット方式
ウェット方式とは、水を使用して洗剤を泡立てながらカーペットを洗浄する方法です。カーペットの清掃方法では一般的な清掃方法で、多くのマンションやオフィスビルで用いられています。
ウェット方式で使用する機材も、セミドライ方式同様、バルチャーやポリシャーなどの専用機材です。専用ブラシを使用してしっかりとカーペットを洗い、発生した汚水や泡はエクストラクターと呼ばれる汚水回収機で回収します。
ウェット方式のメリット・デメリット
ウェット方式のメリットは、汚れをしっかりと落とせることです。衣類を洗濯する感覚に近い清掃方法で、洗浄力が高いため泥汚れなども落とせます。土足歩行のフロアに敷かれたカーペットの清掃におすすめです。また、アクリルやナイロンなどの化繊のカーペットで、汚れがひどく目立つ場合にも適しています。
ウェット方式のデメリットは、水を使用するため精密機器がある空間や、下地に水に弱い床材が使用されている空間などには適していないことです。また、ドライ方式やセミドライ方式と比較すると、乾燥するまでに時間がかかります。
手順
ウェット方式の一般的な手順は、以下の通りです。
- バキュームクリーナーでカーペットに入り込んだごみやほこりを吸い取る
- 染みやこびり付いた汚れを取り除く
- 汚れが目立つ箇所に、油溶性の汚れに効果的な前処理剤を散布する
- ウェット方式専用の洗剤をカーペットに散布し、バルチャーやポリシャーで洗剤を泡立てながら洗浄する
- 四隅や巾木に沿った箇所は、手作業でブラシをかけて汚れを落とす
- エクストラクターを使用し、汚れにリンス剤を混ぜながら、汚水や泡を吸い取る
- 送風機を使ってカーペットを乾燥させる
- カーペットの毛足が長い場合は、整毛して仕上げる
- 必要に応じて保護剤を散布する
ドライ方式でカーペットを清掃する適切な頻度
一般的にドライ方式でカーペットを清掃する適切な頻度は、3~4カ月に1度です。
前述した通り、ドライ方式にはセミドライ方式が含まれることが多いですが、セミドライ方式でのクリーニングも、同じく3~4カ月に1回が適しています。ウェット方式の場合は、1年に1回を目安に行うとよいでしょう。
ただし、汚れの具合によっても適切な頻度は異なるため、依頼する業者に相談しつつ、スケジュールを決めるのがおすすめです。
場所やカーペットの状態、種類に合わせた清掃方法を選ぼう
ドライ方式でのカーペット清掃は、水を使用しないため、水に弱い精密機器が設置された場所や、速乾性が求められる空間の清掃に適しています。
業者が行うカーペット清掃方法には、ドライ方式の他にもセミドライ方式やウェット方式がありますが「どの方法を選べば良いか分からない」とお悩みの方もいるでしょう。その場合は、まず業者に相談するのがおすすめです。
マンションやオフィスビルの清掃サービスを提供しているアーネストは、導入実績が1,000社以上あり、カーペット清掃にも対応しています。現地調査を実施した上、適切な清掃方法をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。